石川直樹 「8848」

会場:SCAI THE BATHHOUSE(東京都台東区谷中 6-1-23 柏湯跡)
会期:2011年9月9日〜2011年10月22日
時間:12:00-19:00
休館:日曜・月曜・祝日
入場料:無料

本展覧会では、今回のエベレスト登山中に石川が撮影した渾身の写真を展示いたします。巨大な氷が突き出るアイスフォール、所々にあるクレバスという深い氷の裂け目、エベレストの頂きを目指す険しい斜面。そして標高8848mの世界最高峰の頂きから俯瞰する世界。眼下に広がる広大なヒマラヤ山脈と雲海、成層圏に近づくにつれて碧くなる空、近くに感じられる太陽光。これらの写真からは、美しくも厳しい山の力、大自然に向き合った時にのみ感じる畏怖の念、生きることへの力強さ、それでいて対象との距離を一定にとりながら冷静に撮影をする石川の視線が感じられます。また、自らの精神と肉体の限界に挑んだ先で撮られた作品群からは、単なる旅の記録としての写真ではない圧倒的な存在感が伝わってきます。登頂の記録と併せ、登山への下見と高所順応のために3年ほど前から幾度となく訪れたエベレスト街道や山岳民族のシェルパ族が暮らす村の写真などもあわせて展示いたします。人間の生活圏からもっとも遠い極地ともいえるエベレストの麓で、ヤクを飼い、畑を耕し、時には自分の体ほどもある大きな荷物を背負い、エベレスト登山者をサポートしながら、ひっそりと、たくましく日々を営む人たちの生活がそこにはあります。この写真群はデジタル全盛の現代において、おそらく「フィルムカメラによっておさめられた最後のエベレストの写真」として、ひとつの時代の終焉を示唆する貴重な記録になるとともに、21世紀のエベレスト登山の痛いまでのリアルをつきつけるジャーナルでもあります。空前の登山ブームと言われる今、それでも一般の人を近づけない孤高の山があることを、そのあまりにも大きな存在、想像を絶する天空の視界を、確かに感じさせてくれる貴重な作品の世界に是非ご期待ください。
SCAI THE BATHHOUSEhttp://www.scaithebathhouse.com/

行きたいエキシビションその3。行きたいけどなかなか遠くて行けない、それが私にとってのスカイザバスハウス。