クリストとジャンヌ=クロード展 LIFE=WORKS=PROJECTS

会場:21_21 DESIGN SIGHT(東京都港区赤坂9-7-6)
会期:2010年2月13日〜2010年4月6日
時間:11:00-20:00
休館:火曜(4月6日は開館)
入場料:一般 1,000円

パリ最古の橋ポン・ヌフを輝くベージュの布で包み、カリフォルニアの丘陵地帯と日本の田園風景に黄色と青の傘の花を咲かせ、ベルリンのライヒスターク(旧帝国議会議事堂)を銀色の布で包んでしまったクリストとジャンヌ=クロード。彼らのプロジェクトは常にゆるぎないコンセプトのもと、長い年月を費やしながら人々を説得し、実現へと進められていきます。2005年2月、ニューヨークのセントラル・パークにサフラン色のゲートを7503本連ねたプロジェクトは私たちの記憶に新鮮ですが、これも20年以上に渡る交渉の末についに実現したものでした。本展では、こうした活動の軌跡を表すドローイング作品や完成したプロジェクトの写真、ドキュメンタリー映画などによって、壮大なプロジェクトを現実のものとしていくプロセス、さらにはその根底に宿る美しさへの情熱に目を向けます。 2009年11月18日、ジャンヌ=クロードは惜しくもこの世を去りましたが、クリストは今もなお二人が描いたプロジェクトのためにさらに歩みを進めています。 会場では、コロラド州の「オーバー・ザ・リバー」やアラブ首長国連邦での「マスタバ」等、現在進行中のプロジェクトの一部もあわせて紹介します。本展はクリスト、ジャンヌ=クロードと三宅一生との長年の友情関係を背景に、二人のプロジェクトに25年間関わってきた美術評論家 柳正彦の監修によって構成されます。本展を通して、驚きと感動に満ちた二人の「LIFE=WORKS=PROJECTS」に触れられる機会をつくります。
http://www.2121designsight.jp/

あの包む人のエキシビション。実は幸運にも先日クリストさんにお会いする機会があった。
どのプロジェクトも10年20年という長い年月を費やして準備をしステークホルダーを説得し、わずか数日から数週間という準備期間からすればほんの一瞬でプロジェクトは終了する。それについてクリストはそのはかなさこそが美しさやパワーを生むといった主旨のことを言っていた。
ある建築家の先生が以前、大阪万博の会場を今眺めてみると、あの丹下健三の壮大なお祭り広場の構造物は姿を消し、岡本太郎太陽の塔だけが残っている。これが建築とアートとの寿命の差なのだ、、、と少し寂しそうに言っていたのを思い出した。建築もヨーロッパの建築や日本の社寺仏閣などは今もその姿を美しく残しているケースもあるのだが、アートに比して建築、特に現代建築はそのライフサイクルが短い場合が多い。アートの強さと建築の弱さ儚さを建築側の人間としてその先生は言ったと思うのだが、クリストとジャンヌ=クロードは恒久的ではないアートプロジェクトを次々と展開してきた。その潔さとバイタリティに強い興味を惹かれた。
またこれだけの息の長いプロジェクトを、寄付やスポンサーに頼らず、すべて自身のドローイングなどを売ることによって得た資金、つまり自費でやっているというのもすごい。アンビルドな建築家がプロジェクトの図面やドローイングを売ってプロジェクトを完成させるなんてことは存在しない。建築は建築家と施主という関係があるから当たり前だけど。
そして見逃せないのが、包つつまれたものも、包む布も際立って美しいということ。包み方も相当なスタディをしている。