せんだいメディアテーク

設計:伊東豊雄(2001年) 2003年 日本建築学会賞




念願の初訪問。伊東豊雄の代表作。
私がここで書くまでもなく、この作品を景気に伊東豊雄の作風は大きく変わったように思う。この作品を境に前期と後期に分けるならば、私は前期の伊東豊雄のファンだった。伊東豊雄と熊本の関係は深い。彼の出世作は熊本の八代未来の森ミュージアム。熊本アートポリスのコミッショナーも務めている。だから、学生時代から伊東さんとはちょこちょこ交流の機会があった。八代をきかっけに日本でブレイクし、仙台で世界的にブレイクした、、、と乱暴かもしれないけど言えると思う。せんだいメディアテーク以降、それまでの線の細い建築から、有機的で官能的な建築を作るようになった。
このコンペ時のあの衝撃的な模型写真はあまりに有名だけど、やはり雑誌などの写真で見た通り、模型のイメージとはかなり違っていた。あの建築ではないような軽やかな浮遊感は全くなくて、スラブはごつごつしたチューブにどうにか支えられた、まぎれもないどっしりとした建築だった。でも、後にそれが自分の建築観を変えるきっかけになったと、彼は語っている。だから、それでいいんだと言っていた。
とにもかくにも驚いたのは、なによりこの建築が地域で愛されているということ。私が訪れたときもかなりの人たちでにぎわっていた。私のように建築学会のついでに来た建築かぶれなどではない。明らかに地元の人。お年寄りもたくさんいて、みんな楽しそうに本を読んだりしていた。近くの信号を待っていたら、「メディアテークよってく?」っていう若い人達の会話も聞こえてきた。これって建築の浮遊感とか革新性とかどうでもいいくらい、大切なことだと思う。