いけばな-371

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  • 燕子花(アヤメ科)

写景盛花様式本位 夏の近景描写 燕子花夏の三株挿し
これから生徒さんに教えることにもなるので挿法を詳しく解説。
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三株挿しは左の写真の8カ所に葉を組んで挿す。花が入るのは1番と6番。
葉組には下記の3種類があり、葉先の爪が内側を向くように組む。

  • 二枚組(表組):二枚の葉のうち短い方が手前で長い方が奥。長さは短い方は長い方に対して1割くらい短くする。
  • 二枚組(裏組):二枚の葉のうち長い方が手前で短い方が奥。長さはの比率は表組と同じ。
  • 三枚組:葉の組み方は手前から順番に、二番目に長い葉→一番長い葉→一番短い葉。一番短い葉は一番長い葉の6割くらいの長さとする。一番短い葉の爪は一番長い葉の方に向ける。

またそれぞれの葉組には葉の表裏によって表葉と裏葉という概念が存在する。葉を指で触ればなんとかわかるのだが、葉は断面に膨らみがある。その膨らんでいる方を奥(窪んでいる方を手前)にして組むのを表葉、その逆を裏葉と呼ぶ。
以上を踏まえて、いけていく。まず、1番の主枝を挿す。葉組は二枚組の表葉表組で左側を高くする。高い葉の長さが器の直径+深さ程度になるように。花は花首部分が長い方の葉と同程度になる長さで。花の向きは第一包が手前に向くように。
続いて2番3番の葉を挿してゆく。2番は二枚組の裏葉裏組で右が長く、3番は裏葉の三枚組で左が長くなるように。つまり長いほうの葉は1番(左)→2番(右)→3番(左)というふうにジグザグになる。長さは2番の長い方は1番の短い方と同程度、3番の長い方は2番の短い方と同程度というように手前になるほど短くなってゆく。
次に、主枝の株の右側の4番と5番を挿す。4番は裏葉の三枚組で右が長く、5番は二枚組の表葉表組で左が長くなうように。長さは4番の長い葉が1番の半分程度になり、5番の短い葉は4番の長い葉と同程度になるように。
最後に客枝の株を挿す。6番は裏葉の三枚組で右が長く、7番は二枚組の裏葉裏組で左が長く、8番は二枚組の裏葉裏組で右が長くなる。長さは6番が3番よりやや短くなるようにし、後は同様に、6番→7番→8番の順に短くなってゆく。花は6番に入り向きは第二包が手前を向くように。
このようにして出来上がり。長々書いたけれどポイントは次の通り。

  • 葉組は株の一番手前は全て三枚組
  • 表組で組むのは主枝より後ろにある1番と5番のみであとの2番・7番・8番は裏組で組む
  • 各株の葉組長さの順番は、水盤の中央より外寄り(奥や手前)にあるものほど長く、中央に向かうに連れて短くなってゆく
  • 組む葉のペアの長短は水盤の外周に接するところ(1番・6番)は外周側の葉が長くなるように組み、水際側(4番)は水際側が長くなるように組む