夢売るふたり

原案・脚本・監督：西川美和
出演：松たか子 / 阿部サダヲ / 田中麗奈 / 鈴木砂羽 / 安藤玉恵 / 江原由夏 / 木村多江 / 倉科カナ / 伊勢谷友介 / 香川照之/ 笑福亭鶴瓶

ストーリーはユニークで現実離れしているけど、夫婦というものの本質を問う芯のある映画だった。
どうしても阿部サダヲと松たか子の夫婦を、私と私の奥さんに重ねて観てしまった。この映画では店を再建するという夫婦の象徴的な目標と夢があったが、普通の夫婦でも円満に家庭を築くことなど、具体的でなくて無意識的なものも含めて目標や夢があるはずだと思う。その夫婦の夢の具体性／抽象性を問わず、夢は追ってるうちにその意味や目的を見失う危うさがあるのだと思った。私たち夫婦の夢や目標ってなんだろう、その夢や目標に対する私の姿勢と奥さんの姿勢は同じだろうかとかいろいろ考えた。夫婦って血縁があるわけでもない波長や振幅の異なる男女が、夫婦という何かふわふわしたもので柔らかく包まれてなんとなく同じような方向を向いているようなもので、その柔らかな包みのようなものは時に強く時に脆く儚いものだと気付かされた。
観終わった後、我慢強いけど繊細で少し弱いところもある私の奥さんをもっと大事にしようと思った。