建築の記憶 - 写真と建築の近現代

会場:東京都庭園美術館(東京都港区白金台5-21-9)
会期:2008年1月26日〜2008年3月31日
時間:10:00-18:00
休館:第2・第4水曜
建てられた地から動かすことのできない建築は、実際にそこを訪れない限り見ることはできません。また様々な理由により形を変えられてしまったり、時代の変化とともに失われてしまうこともあります。したがってわたしたちの建築体験の多くは写真によるものなのです。建築家の意図を的確に反映し、表現してくれる写真により、建築は多くの人々に共有され、歴史の中で普遍化されていきます。そして写真は、時として建築家自身も気づかなかった建築の新たな魅力を引き出してくれることもあります。展覧会には、記録として撮影された明治期の建築写真から、建築の魅力を独自の表現で切り取った現代の写真まで、約400点を7章構成によって展示します。竣工写真のみならず、構想段階である建築の模型を撮影した写真なども展示し、建築家の構想から現実化へのプロセスも紹介します。本展は、近現代の日本の建築を、同時代の写真家がどのようにとらえたかを辿りながら、建築史と写真史の変遷と接点を概観する試みです。これまで語られることのなかった建築と写真の関係を見据える視点を提示し、写真をとおして、それぞれの時代の建築に対する人々のイメージを検証します。
http://www.teien-art-museum.ne.jp/

久しぶりにしびれる展示だった。行ってよかった。
7つのチャプターで構成されているのだけど、最初の章、展示の一番最初になんと、どーんと熊本城の写真が!1872年(明治5年)に冨重利平によって撮影された熊本城。辰野金吾伊東忠太、岸田日出刀、丹下健三、、、と続いてゆく日本の建築写真史を概観する展示の最初の写真が熊本城だなんて、なんだかすごくうれしくてテンションが上がって。。。日本人が最初に撮影した建物は城だそうだ。
コンドルのニコライ堂辰野金吾の東京駅、片山東熊の東宮御所堀口捨己の「分離派建築会」の出版物と続いてゆく。伊東忠太のフィールドノートが展示されていてそのディテールのスケッチは圧巻だった。これかなり貴重。岸田日出刀自身がライカで撮った建築写真、村野藤吾の平和記念聖堂、前川國男京都会館、そして、丹下健三広島平和記念資料館、代々木体育館、東京カテドラル。代々木体育館の建設中の写真はすごい。桂離宮伊勢神宮。。。そして、安藤忠雄の建築を撮る杉本博司、最後は伊東豊雄青木淳
写真という新しい表現手法の登場と建築との関係、写真というものに建築表現の可能性を見出した建築家たち、そして写真家たち。。。日本の近現代建築史と写真史を両方勉強できるすばらしい展示。迷わず図録購入。この図録の装丁がまた素晴らしい。
建築かじってる人、かじってた人は絶対行くべき。建築知らない人が観てもおもしろいと思う。