Mommy/マミー

20150313_190640

監督:グザヴィエ・ドラン
出演:アンヌ・ドルヴァル / アントワン=オリヴィエ・ピロン / スザンヌ・クレマン

とある世界のカナダでは、2015年の連邦選挙で新政権が成立。2ヶ月後、内閣はS18法案を可決する。公共医療政策の改正が目的である。中でも特に議論を呼んだのは、S-14法案だった。発達障がい児の親が、経済的困窮や、身体的、精神的な危機に陥った場合は、法的手続きを経ずに養育を放棄し、施設に入院させる権利を保障したスキャンダラスな法律である。ダイアン・デュプレの運命は、この法律により、大きく左右されることになる。  ダイアン・デュプレ(アンヌ・ドルヴァル)は、掃除婦としてギリギリの生計を立てる、気の強いシングルマザー。喜怒哀楽が激しく、おしゃべりで、まるでティーンエイジャーのようなケバケバしいファッションに身を包み、15歳になる息子、スティーヴ(アントワン=オリヴィエ・ピロン)と二人暮らしをしている。スティーヴはADHD(多動性障害)で、性格は攻撃的。常に情緒不安定で、他人を罵ったり、ケンカをふっかけたり、最悪なことに、女性とみれば誰かれかまわず親密にタッチしてしまうクセが抜けないまま大人になりつつある、他人との距離を測れないトラブルキッズだ。しかし、平静なときは、極めて知的で、そしていたって素直な、どこにでもいる純朴な少年であることが、母を右往左往させている・・・。

多動性障害の息子と肝っ玉シングルマザーの感情剥き出しの人間ドラマ。
私は母ではなく父だし、うちにいるのは息子ではなく娘だけど、やはり子を持つ親としての視点で観た。激しい言葉、激しい暴力、激しい感情が終始ぶつかりあって、嵐の中にずっといるようだったけど、所々に心が触れ合う、希望の光が射すような場面があり、嵐の中にいたからこそ、その光が本当に美しく感じらた。慣れてきたような気がしていた子育てだけど、なんだか初心に戻って清々しい気持ちになった。最後は本当に泣いたな。